として余裕を生じる日数を、将来に備えて南極周辺の地質調査に当てることとし、同じく通産省傘下の特種法人である石油公団(JNOC)に相談された。石油公団ではこれを受諾された。諮問機関として石油公団の中に昭和55年8月、「南極地域石油基礎地質調査委員会」を設けた。私はその委員長を仰せつかった。以来、今日に至るまで18年間その職務を果たしている。
換言すれば、石油公団は、資源エネルギー庁の委託を受けて17国に亘って、白嶺丸の日本一南極海域の往復日数を含めて毎年約110円をかけての調査を実施してきた。なお継続中である。
図−2に各年度ごとの調査地域をまとめたものを示す。主としてストリーマーケーブルを用いたエアガンによる海底下の青波探査、重力・地磁気調査、採泥などを行ってきた。大きな成果を上げている。
ただ、南極条約など、資源調査は厳しく規制されているので、あくまで、基礎地質調査の立場を守り、結果は公表している。そのため条約参加国の容認を受けているのが現状である。
調査団の構成は、石油分団、地質調査所のスタッフを中核としている。
委員長の立場で、私はいつも、調査の主導権は調査団長にあるが、人員・船体の安全に関する全権は船長にあるので、船長は遠慮なく危険を察知した場合には、団長と相談の上、安全圏への退避をはかって頂きたい、とくどいくらい申し上げている。
白嶺丸の船齢は今年で足掛け23年、第2白嶺丸が17年である。常識的に言えば、白嶺丸はそろそろ代船を考慮すべき年齢に達している。
わが国として必要とする海底の研究・調査内容について大局的な見地に立って考慮した場合、通産省の任務として、どのような方策を取られるのか、選択を迫られているのが現状である、と言うことができよう。
今回は、ある意味では詳細に亘り過ぎるきらいがあるくらい、くどい書き方をした。それは、白嶺丸、第2白嶺丸の輝かしい成果の裏に、建造、運航に関して相当な苦労が重ねられた事実があったことを知って頂きたかったためである。
本項を記すに当たって、私のノートの不備を補うために、文献に掲げた高木先生の機関誌「漁船」に掲載された記事の内容を数多く引用させて頂いた。また次の方々から多くの御教示を頂いた。深く感謝申し上げる次第である。
三品格正 金探OB、海洋技術開発社長
黒田巽 金探OB、海洋技術開発OB
小堀浩史 金探OB、海洋技術開発OB
松木勝時 金探・総務部契約案長
参考文献
1)高木津(1974):地質調査船“白嶺丸’’.漁船協会「漁船」, n.193,pp.317-332.
2)高木津(1980):深海底鉱物資源探査専用船“第2白嶺丸”.漁船協会「漁船」, n.230,pp.439-455.
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